母と娘のティータイム

 

     エレナリーフ創業ストーリー

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「母との紅茶」

 

小さい頃からいつも朝食にミルクティーをいれてくれていた。

母との時間を思い起こしてみると、いつも紅茶があった。

決まってミルクティー。

紅茶を介して、何気ない会話がある。

 

 

小学校の頃、母がたまに連れて行ってくれるフランス料理店でのティータイムがとても印象に残っている。

飴細工の凝った、本に出てきそうなオシャレなお菓子に、決まって紅茶。

 

「経験」を一番大事にし、子育てをしていたから、素敵な雰囲気でのゆっくりとした「ティータイム」を子供の時にも体験させてあげたかった、と後で聞いた。

決して裕福な家庭ではなかったが、様々な体験を子供の頃にさせてくれた。

資金的な財産は残せないけど、「経験」という財産を授ける為に、

自分の目で見て、自分の身体で体験するということをさせてくれた。

 

大人になり、分かったのは、物質的な優雅さではなく、心の優雅さを「母との紅茶の時間」が

育ててくれたのだということ。

 

小学生低学年の頃、母の誕生日に、一人でデパートへ行き、少ないお小遣いをかき集めて、

イギリスの高級食器のティーカップを買いに行った。

母は、小さい子供が自分の意思でデパートに行き、お金もないのに、ヨーロッパの高級食器を選んでくることにびっくりしていたが、私の頭の中には、「母とのティータイム」をもっと楽しみたいという気持ちでいっぱいだったのだと思う。

 

 

母に、なぜコーヒーではなく、紅茶を飲むのか聞いてみたことがあった。

すると、母も、子供の時にお母さんと一緒に紅茶を飲んでいたと言っていた。

 

祖母はレモンティーが好きで、レモンが切れると、紅茶のためだけにレモンを買いに行き、

母はレモンのおつかいをよく頼まれたと言っていた。

そして「さぁ紅茶をいれましょう」と紅茶の時間が始まる。

 

母も決して裕福な家庭ではなかったが、祖母は紅茶の時間をとても大切にしていた。

 

小学生の頃、おやつの時間が大好きだった母は、学校が終わると一目散に家に帰り祖母が用意した

「おやつと紅茶」で今日あった出来事を思いっきり話して、満足し、それから遊びにでかけたという。

 

そんな祖母との紅茶の時間を、母は私とも過していたのだ。

 

 

ティータイムを通して、色々な話をした。

 

その中でも一番興味が惹かれたのが、世界には色々な国があり、文化があり、考え方があり、

その人その人の思いがあるということ。

自分のこの目で見て、この身体で体験する素晴らしさを教えてもらった私は、

世界の国々を見てみたいと思うようになった。

 

大人になり、仕事の合間に休日を利用しては、興味の赴くままに様々な国をバックパッカーで旅した。

エストニア、クロアチア、ペルー・・・。

日本に情報が少ない国ほど興味が沸いた。どんな国なんだろう。どんな人々が住んでいるのだろう。

どんな文化があるんだろうと。

 

26歳までに39カ国を旅した。

そして、40カ国目、どこに行こうかなと考えている時に、ふと、私と母と祖母をつなぐもの、「紅茶」

そのルーツを探りたいと思った。

2009年に内戦が終わり、渡航面での心配がなくなったこともあり、期待を胸にスリランカへ降り立った。

 

さっそく訪れた紅茶畑。朝から晩まで、一枚一枚丁寧に紅茶の葉を摘む人々。

丹念に丹念に、手作業で行われる。

裸足で、草をかき分け、一日摘み続けた生の葉も、出来上がった紅茶になると、ほんの一握りほど。

 

一杯の紅茶の裏側には、こんなに一生懸命に作っている人たちがいることを改めて知った。

無心に茶摘みをする人々に、「どういう思いで紅茶の葉を摘んでいますか?」と聞いてみた。

すると、「子供をね、白い制服を着せて学校に通わせてあげたいの」とやさしい笑顔で教えてくれた。

スリランカでは、人種の格差もあり、茶園労働者は、なかなか高等教育をうけることができない。

「白い制服」、「学校」。

日本では日常に目にする光景が、ここでは、「夢」であり「憧れ」なんだということを改めて知った。

「だから、良質な紅茶を作りたいと思い頑張っている。おいしい紅茶を作れば、消費国でも喜ばれ、たくさん紅茶を飲んでもらえるようになると思うから。そうすれば、私たち家族も幸せになる。そして私たちの作った紅茶を通して、皆が笑顔になるような、そんな心温まるお茶の時間を過ごしてもらいたいと思っている。」

と教えてくれた。

 

私は、自分と母の「紅茶の時間」と似た、「母の子供への思い」を、

紅茶のルーツである「スリランカ」の茶畑の中でも感じた。

 

そして、そこで衝撃的な出会いがあった。

訪れる場所、場所で、紅茶の味が全く違うのである。

なぜこんなにも味が異なるのか聞いてみた。

 

すると「紅茶は農作物だから、毎日味は変わるんだよ。場所ごとの標高や土壌、気候で全く頃なる味わいが生まれる。そして隣合う茶園でも、もちろん異なる味わいが生まれるんだ。ワインと同じだよ。だから私たちは、自分たちが作りだす紅茶が最高な味になるように、心をこめて作っているんだ」

 

その瞬間、私は驚きのあまり言葉を失った。

私が今まで飲んでいた紅茶は何だったのだろう?

いつも変わらず同じ味だった。

 

でも、本当の紅茶というのは、採れる場所や気候でこんなにも味が変わるんだ!

なぜそういう紅茶に出会わなかったのだろうか。

 

すると、茶園のマネージャーが教えてくれた。

「世界では、紅茶を売る時に、色々な種類を混ぜてしまうんだ。でも、それが悪いことではないんだよ。

大きい会社が、安定した味と価格を保ち、消費者に提供するには、そうするしかないんだ。農作物だからね。

でも、私たちは、気候や土壌の特性を踏まえ、ここでしか作れない最高品質な紅茶を追求し作りたいと思い、

今それを実行している。そして、そうやって出来た紅茶は、そのまま飲んでもらいたい。

産地を感じながらそのものの味を堪能してもらいたいと思ってる。でも、世界では、まだあまり知られていないし、伝えたいけど、伝えるノウハウがないんだ。」と残念そうに話してくれた。

 

その言葉を聞いた時、どうやったら「その思い」を伝えられるだろうか、と考えた。

紅茶の作り手の思いを、紅茶を飲む人たちに伝える懸け橋になることは、私に出来ないだろうかと真剣に考えた。

 

日本に帰り、もっと詳しく調べてみた。

産地の特徴が良く出た、茶園名の分かる、一切混ぜない紅茶のことを

「シングル・オリジン・ティー(単一農園茶)」という。

 

日本でも「シングル・オリジン・ティー」を販売している紅茶専門店は昔から少数あったようだ。

しかし、パッケージがシンプルな故、産地名が表記してあっても、ディンブラ(産地名)が何なのか、

どんなところで、どんな味の特徴がある紅茶のか、人々に伝わりづらいように感じた。

 

多くの人に知ってもらうためには、「シングル・オリジン・ティー」を知らない人にも、

興味を持ってもらう必要があると強く思った。

それには、どうしたらいいのだろうか。

 

考えた末に出た結論は、 「産地を感じられる紅茶商品を作る」という決断。

 

「産地を感じながら、紅茶そのもののおいしさを堪能してもらいたい。」

「紅茶を介した、人と人とを繋ぐコミュニケーションの温かさの魅力をもっと広めたい」

という強い思いを込め、新しい紅茶ブランドを立ち上げることを決意。

 

どうやったら思いが伝わるだろうか、熟考した。

 

そして、産地を描いた絵をパッケージにし、その絵に合わせた物語をつけることにより、

産地を知らずに手に取った人が、物語を読むと、産地のことがわかるようになる。

産地の絵を見ながら、物語を読み、そこで採れた紅茶を飲む。

五感を使って楽しめる紅茶にしたいと思った。

 

そして「エレナリーフ」という紅茶ブランドが誕生した。

 

 

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あなたが紅茶を入れていると、どこからともなく、紅茶をおいしくするLeafの妖精「テティ」が飛んできます。

紅茶入れるのを手伝ってくれたり、一緒にティータイムを楽しんだり。

パッケージの絵の中のティータイムにも、そんな妖精「テティ」がたくさんいます。

あなたは何匹見えましたか?                                                 

花束と紅茶の妖精